大竹貿易事件系列:香港滞在と国内の経営・家庭生活
同じ会社・役員に関する前訴と後続課税を1系列に集約。国内住所の認定は維持されたが、後続事件の1991年高裁では認定利息に関する本税・加算税を取り消した。住所について非居住者と認められた事件ではない。
RESIDENCE CASE DATABASE
似た事件でも、なぜ結論が違うのか。滞在日数、住居、家族、仕事。裁決・判決で判断された事実を比較し、原文までたどれる研究データベースです。
柳澤賢仁「納税義務をめぐる『住所』の判断」(『税理』2011年5月号)のチェックリストを出発点に、判例を蓄積しています。
本文確認済み、公表要旨確認済み、本文確認済み(民間転載・一部省略)の3区分で収録しています。要旨確認済みと民間転載・一部省略の資料は検索・比較の対象ですが、住所判断の統計には含めません。その他、個別に統計対象外とした資料も除外します。全事件の収録を完了したものではありません。同じ事件の審級を重複して数えず、公表裁決と裁判例の関連が未確認の場合はその旨を記載します。
裁決要旨から読む
「海外に183日以上いれば非居住者になる」とは限りません。2017年1月23日の大阪国税不服審判所の裁決では、請求人が「国外の住居に年間250日以上滞在している」と主張しましたが、日本の居住者に当たると判断されました。
裁決要旨は、国外の滞在期間の方が長いことに触れたうえで、日本に所有する自宅を帰国中に利用していたこと、生計を一にする妻がその自宅で暮らしていたこと、金融資産の大部分を国内の金融機関に保有していたこと、住民登録や国民健康保険などの事情を総合して、生活の本拠は日本にあるとしています。
日数は重要です。しかし、日数だけで「住所」は決まりません。この裁決は、住居・家族・資産と実際の生活を合わせて検討する必要を示しています。国税庁も、外国に183日以上滞在していても日本の居住者となる場合があると説明しています。
確認範囲:国税不服審判所「裁決要旨検索システム」の要旨(2018年5月11日表示)。大阪・平成28年(所)第36号、2017年1月23日裁決、棄却。「年間250日以上」は請求人の主張であり、正確な認定日数を示すものではありません。裁決全文、対象年、後続訴訟は未確認です。要旨確認済みの裁決として下記の検索・比較に収録し、本文確認済み事件を対象とする統計からは除外しています。
同じ会社・役員に関する前訴と後続課税を1系列に集約。国内住所の認定は維持されたが、後続事件の1991年高裁では認定利息に関する本税・加算税を取り消した。住所について非居住者と認められた事件ではない。
約2か月の国内掘削作業と終了後の国外移動予定から、従業員は非居住者とされた。
日本に住宅と家財を残していても、生活の本拠は米国と判断。日本の居住者だと主張した原告は敗訴した。
香港で事業と家族生活を営む人の数日ずつの訪日は、国内に引き続き1年以上居所を有することにはならないとされた。
2001年は国外合計が国内を上回っても、国別では日本滞在が最長。国内の家庭・仕事・資産等から国内住所を認め、当時のタックスヘイブン課税等を維持した裁決。後続の地裁・高裁も同じ事件として確認できる。
審判所は乗船する船舶を勤務場所と捉え、勤務外に暮らす国内自宅と配偶者、資産等から国内の生活の本拠を認めた。
審判所は乗船する船舶を勤務場所と捉え、勤務外に暮らす国内自宅と配偶者、資産等から国内の生活の本拠を認めた。
審判所は乗船する船舶を勤務場所と捉え、勤務外に暮らす国内自宅と配偶者、資産等から国内の生活の本拠を認めた。
審判所は乗船する船舶を勤務場所と捉え、勤務外に暮らす国内自宅と配偶者、資産等から国内の生活の本拠を認めた。
外国の勤務用アパートより日本の家族住宅に生活の本拠を認め、条約上も外国の恒久的住居という主張を退けた。
2001年の株式譲渡について国内住所を否定。高裁で国が追加した『国内に引き続いて1年以上居所を有する』との主張も退け、課税処分を取り消した原判決を維持した。
海外へ生活の本拠を移す意図に対し、国内での生活・経営・資産運用の実態から居住者とされた。
外国船舶の乗組員について、国内の家族や勤務を離れた際の生活本拠を検討し、国内住所を認めた公表裁決。
国内住所を記載した印鑑登録証明書等があっても、売却手続のための一時帰国とホテル滞在の実態から、譲渡人を非居住者と判断。買主の源泉徴収義務が問題となった。
代表者への給与等を非居住者扱いで源泉徴収した法人の事件。国内での住居・滞在・経営実態から代表者を居住者と判断し、乗組員の住所に関する通達の援用を認めなかった。
借主は賃貸人を居住者と主張したが、生活の本拠は外国と判断された。公式要旨の裁決日には表示不一致がある。
2004年9月13日〜2006年6月8日の海外業務期間について非居住者と判断。国内の家族・住宅・銀行口座を残していたことだけでは生活の本拠を認めなかった。
香港での住居・仕事・滞在実態から、贈与時の国内住所を否定。租税回避の動機があっても客観的な生活実体は失われないとした。
外国の住宅・家政婦・銀行口座を維持していても、帰国後の国内での継続した生活から居住者とされた。
外国法人の遠洋漁船で長く働いていても、船外の私生活の本拠が日本の配偶者宅にあるとして国内住所を認めた。
2009年に国外で179日過ごした海外法人社長について、国内186日の滞在に加え、国内の家庭生活と業務の実態等から国内住所を認定。非居住者として所得を減額する更正の請求を認めなかった。
退職後もシンガポールの生活本拠が続き、2008年1月25日のRSU株式取得日は非居住者と認定。ただしRSU所得の国内勤務対応分は課税され、更正・加算税は各一部取消しとなった。
外国信託に係る生後8か月の乳児の住所を、養育する両親の生活本拠から判断。米国籍や米国滞在の長さだけでは国内住所を否定しなかった。
国内外の住居の存在を認めたうえで、生活の大部分が国内住宅で営まれたことや業務時間等を総合し、日本の居住者と認めた。
家族と外国で暮らし業務のほとんどを外国で行う取締役は、国内の住民票等があっても非居住者とされた。
不動産の買主が売主の国内滞在日数等を挙げたが、家庭生活の実体は外国にあるとされた。
国内不動産の売主は米国に生活の本拠を持つ非居住者と判断。売主を居住者と主張して源泉所得税の納税告知等を争った買主会社は敗訴した。
年間250日以上の国外滞在を主張したが、日本の自宅・妻・資産等から居住者とされた。
国内の家や住民税を残していても、国外常駐の代表者としての活動と滞在状況から非居住者とされた。
2011〜2014年について国内に生活の本拠を認め、条約上も日本の居住者とした。
国外職業による推定を主張したが、国内外の生活・仕事・家族・資産等を総合して日本の居住者とされた。
日本滞在がシンガポールを上回る年でも、第三国出張と海外事業・住居等を総合して国内住所を否定。東京高裁が地裁判断を維持した。
香港の金融資産が国内資産を上回っていても、日本滞在や住居利用等から国内住所を肯定。過去の非居住者扱いはその後の結論を保証しないとされた。
外国の就労ビザや役員業務等を挙げた主張に対し、日本の居宅と国内業務が生活の中心とされた。
シンガポール移住後、2013・2014年は国内住所あり、2015年は国内住所なし。滞在日数の差と住居・事業の実態の進展を年ごとに評価した。
外国法人役員の地位や在留資格だけでなく実際の活動を検討し、日本の居住者とされた。
技能実習終了後の国内就職内定前は非居住者、内定日以後は居住者と判断された。
該当する収録事件がありません。絞り込みを減らしてください。未収録事件が存在しないという意味ではありません。
分母は絞り込み後の表示件数のうち、本文確認済みの統計対象事件だけです。要旨確認済み、民間転載・一部省略、個別に統計対象外とした事件は、分母・分子のいずれにも含めません。住所の判断を集計しており、納税者の勝敗ではありません。公表・収録の偏りがあるため、勝訴確率や非居住者の認定確率を示しません。
国税不服審判所の公式統計
最新の2025年度(令和7年度)の認容割合は7.2%です。処理された3,128件のうち、全部認容が80件、一部認容が146件。全部認容に限ると2.6%でした。ここでいう認容は、納税者の請求が何らかの形で受け入れられたことを指します。国税不服審判所・令和7年度の審査請求概要 ↗
| 年度 | 処理件数 | 全部認容 | 一部認容 | 認容割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 2,282 | 160 | 137 | 13.0% |
| 2022年度 | 3,159 | 72 | 153 | 7.1% |
| 2023年度 | 2,873 | 140 | 139 | 9.7% |
| 2024年度 | 3,872 | 171 | 522 | 17.9% |
| 2025年度 | 3,128 | 80 | 146 | 7.2% |
出典:2021年度、2022・2023年度、2024年度、2025年度。2022年度は訂正後の認容件数225件を使用。
5年度を合算すると、処理15,314件に対して認容1,720件、11.2%です(公表件数から当サイトが計算)。年度による変動はありますが、全部認容と一部認容は分けて見る必要があります。一部認容には減額の大小が反映されないため、この割合から取り消された税額の割合は分かりません。
また、分母には取下げ・却下も含まれます。認容されなかった残りを、すべて「課税の中身を争って負けた」と読むことはできません。これは全税目の審査請求の統計で、非居住者事件だけの勝率ではありません。このDBの住所判断の内訳とも区別しています。住所が国外と認められても、源泉徴収義務を争う支払者の請求は棄却される場合があるからです。
国税庁の公式統計
税務訴訟についても公式統計があります。2025年度(令和7年度)は終結201件のうち、国側敗訴が8件、4.0%でした。内訳は全部敗訴6件、一部敗訴2件。全部敗訴に限ると3.0%です。国側敗訴は、納税者の請求が全部又は一部認められたことを示します。国税庁・令和7年度の訴訟概要 ↗
| 年度 | 終結件数 | 国側全部敗訴 | 国側一部敗訴 | 国側敗訴割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 199 | 7 | 6 | 6.5% |
| 2022年度 | 186 | 6 | 4 | 5.4% |
| 2023年度 | 172 | 5 | 8 | 7.6% |
| 2024年度 | 168 | 5 | 3 | 4.8% |
| 2025年度 | 201 | 6 | 2 | 4.0% |
出典:2021・2022年度、2023年度、2024年度、2025年度。
分母は年度内の終結件数で、却下や取下げ等も含みます。したがって、残りの96.0%すべてを「課税の中身を争って納税者が負けた」とは言えません。また、国税庁事務年報の課税関係訴訟表は事件番号ごとの集計です。一人の納税者について、関連する全審級を通じた最終的な勝敗を数えた割合ではありません。
審査請求の7.2%と訴訟の4.0%は、対象集団と集計方法が異なります。同じ事件を追跡した数字ではないため、「裁判へ進むと勝率が下がる」という説明には使えません。いずれも制度全体の背景を知る数字として読み、非居住者・住所事件の判断は、それぞれの事実と証拠から検討します。
3区分すべての資料を比較できます。確認範囲の行で、要旨のみの確認や民間転載本文の省略部分など、資料ごとの制約をご確認ください。
事件を2〜3件選択してください。
FROM THE 2011 CHECKLIST
以下の項目名は2011年の論文の表を基に整理したものです。説明文は現在のデータベース用の編集解説で、原文の転載ではありません。当時の重要度の星は再掲せず、点数による判定も行いません。
「関連する争点の事件」は分類による案内です。その項目を各事件が直接判断したことを意味しません。個別ページで判断の射程を確認してください。
対象期間と入出国日の数え方を揃える。日数だけで住所を決めない。
資料の例
入出国記録・旅程
暦年、贈与時まで、転出後など、分母が違う比較を避ける。
資料の例
国別の滞在管理表
第三国への移動がどちらの生活・事業を拠点としたものかを調べる。
資料の例
航空券・出発地と帰着地・出張目的
契約があることと、実際に継続して暮らすことを分けて確認する。
資料の例
賃貸借契約・家財・利用記録
日本に住宅を持つことだけでなく、その使われ方を調べる。
資料の例
権利関係・家財・実際の宿泊
在留資格と日本の税務上の住所は別の制度として整理する。
資料の例
滞在資格の内容・期間
届出と実際の転居・生活の変化が一致しているかを確認する。
資料の例
転出・転入届等
保険の手続だけで住所の結論を出さず、生活実態と照合する。
資料の例
加入・脱退などの記録
報酬の支払元の国と、本人が働く場所を区別する。
資料の例
役職・契約・報酬の資料
実際の仕事と、本人がその国にいる必要性を検討する。
資料の例
会議・業務記録・権限分担
対外的に記載した所在地と、実際の拠点との関係を確認する。
資料の例
名刺・公表プロフィール等
同居・別居の理由を含め、本人の生活との関係を見る。
資料の例
家族の居住地・教育・生活の記録
家族との経済的・生活上の関係を具体的に整理する。
資料の例
生活費の負担・家計の実態
一時滞在か、仕事を離れたときに戻る生活拠点かを区別する。
資料の例
ホテル・住宅の利用記録
口座の形式と、日常生活・資産管理の結び付きを区別する。
資料の例
口座の届出区分・利用実態
日常の支出がどこで行われたか。他の生活記録と照合する。
資料の例
住所登録・利用明細
金額だけでなく、利用状況や本人が現地にいる必要性を見る。
資料の例
資産一覧・管理方法
契約名義の変更だけを住所変更の証拠とせず、補助資料として考える。
資料の例
契約・利用状況
意思の表明と、その後に実行された生活の変化を区別する。
資料の例
赴任計画・住居・届出の時系列
節税の動機と客観的な生活の実体を混同しない。
資料の例
取引の目的・契約・生活実態
期間だけを安全基準にせず、対象取引時点の適用法と実体を見る。
資料の例
出国・贈与等の取引・生活変化の時系列
下記は本文未取得の追加調査候補です。上記3区分の収録資料とは別に扱い、検索・比較・統計の件数には含みません。判決本文、対象税目、審級のつながりを引き続き確認します。
原審事件番号・掲載情報を確認/原文未取得
東京地裁2005年1月28日・平成15年(行ウ)第518号(判例タイムズ1204号171頁開始)。関連高裁2005年9月21日と合わせ、判決本文を精査して収録する候補。
一次資料は裁判所、国税庁の税務訴訟資料、国税不服審判所の公表裁決を中心に確認しています。判決・裁決の判断、当事者の主張、当サイトの解説を区別します。未公表の訴訟書面と元のチェックリストPDFは公開していません。